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タイトル: 精神科入院治療における看護ケア量の測定方法に関する研究 -看護必要度調査項目の妥当性の検討-
タイトル別表記: An Approach to Measuring the Volume of Nursing Care of Psychiatric Inpatients in Japan: The Adequacy of Kango-Hitsuyoudo Items.
著者: 中嶋, 秀明
指導教官: 萱間, 真美
キーワード: 精神科入院治療
看護必要度
看護ケア量
調査法・尺度: 看護必要度
メニンガー患者分類表
24時間自記式看護ケア量測定
声かけ見守りカウント
発行年月日: 2011年3月
出版者: 聖路加看護大学
抄録: Ⅰ.研究の目的 看護必要度は精神科では導入されていない。2006年に新設された手厚い看護師配置は精神科に適応されなかった。 本論文では研究の目的を精神科入院治療において看護量を多く必要とする重症者の特定が可能な一般科と共通のアセスメントツールについて検討するとし、目標を3つ設定した。第1に精神科入院治療において看護必要度を計測し妥当性を検証すること、第2に精神科看護における看護量が多い状態を特定し、看護必要度を含め比較検討すること、最後が精神科における看護量を多く必要とする重症者を特定する患者特性を明らかにすることとした。 Ⅱ.研究の対象と方法 看護量を測定するために4つの尺度・指標を用いた。①看護必要度、②メニンガー患者分類表、③声かけ見守り、④24時間自記式看護量測定である。対象は精神科の患者173人を看護している看護師39名であった。本論文においては統合失調症および気分障害の患者86名を分析に用いた。24時間自記式看護量測定では患者4人を看護している看護師12人を対象とした。 Ⅲ.結果 首都圏にある総合病院の精神科病棟4病棟でデータ収集を行った。 看護必要度における重症度はレベル1から順に、それぞれ56人(65.1%)、18人(20.9%)、1人(1.2%)、6人(7.0%)、5人(5.8%)であった。一般病棟用の重症度・看護必要度に係る評価表における重症者は存在しなかった。 メニンガー患者分類表における重症度レベルはそれぞれ最小限13人(15.1%)、中程度35人(40.7%)、積極的13人(15.1%)、集中的、14人(16.3%)、危機的11人(12.8%)であった。 声かけ見守りカウントの総回数は平均19.6回(SD=10.6)であった。 24時間自記式看護量測定の総ケア時間の平均は99.1分(SD= 69.8)であった。 声かけ見守り総数が多い12人のうち、看護必要度における重症者の割合は6名(50.0%)で、メニンガー患者分類表における重症者の割合は11名(91.2%)であった。 総ケア時間と看護必要度およびメニンガー患者分類表における重症者の関連では、看護必要度では軽症者だが、総ケア時間が最も長いケースがあった。メニンガー患者分類表では重症度と総ケア時間は正比例していた。 看護必要度における重症者で「あり」に該当する人の割合が有意に高いケア項目は24項目あった。特に「寝返り」は看護必要度における重症者全員が「見守り・一部介助が必要」または「できない」患者であった。心電図モニター、輸液ポンプの使用、床上安静の指示の項目は、看護必要度における重症度分類でのみ群間で差が見られた。 メニンガー患者分類表における重症者で「あり」に該当する人の割合が有意に高かった項目は23項目あった。与薬、看護師との時間を頻回に要求する、暴力行為、カンファレンスの項目は、メニンガー患者分類表における重症者においてのみで群間に差が見られた。 看護必要度の重症者を従属変数とした多変量ロジスティック回帰分析では重症度に有意な関連が見られたのは、食事(OR=2.7 p=0.025)と個人衛生(OR=10.3 p=0.004)の項目であった。メニンガー患者分類表の重症者に有意な関連が見られたのは、口腔清潔(OR=22.7 p<0.000)と危険行動(OR=22.7 p<0.000)の項目であった。 看護必要度のケア項目を用いて主成分分析を行い「物理的ケア」「身体疾患のケア」「療養の指導ケア」が主成分として抽出された。同様にメニンガー患者分類表では「見守りのケア」「集団の相互作用を活用したケア」が抽出された。 Ⅳ.考察  総ケア時間と看護必要度の重症度レベルの反比例から看護必要度の限界が示された。 精神科入院治療における看護量の特徴として、看護必要度における重症者を特徴付けるケア項目から具体的介助を導き出し、メニンガー患者分類表における重症者を特徴付けるケア項目から声かけ見守りを導き出した。総ケア時間と声かけ見守りの総数との関係から精神科入院治療においては声かけ見守りの要素が大きい可能性があることを導き出した。 また、メニンガー患者分類表の項目から日常生活のプロセスに沿ったケアが重要であり、セフルケア自立のために、日常生活のプロセスを見守っている状態が看護となることが定量化困難の一因であると考えられた。以上の特徴から精神科入院治療における看護量の多い患者を特定するケア項目として「危険行為の予防」を提案した。 Ⅴ.結論 現在の看護必要度の項目では精神科入院治療で多くの看護量が必要な患者の一部しか特定できていない可能性が示唆された。 精神科入院治療における看護量の特徴は具体的介助と声かけ見守りとの2つの要素があること、危険防止のプロセスそのものがケアの中心的要素となっていることであった。 看護必要度に追加するべき精神科の看護量の多い患者を特定する項目として「危険行為の予防」が示唆された。
参考文献: 1)21世紀の国民医療~良質な医療と皆保険制度確保への指針~http://www5.sdp.or.jp/central/timebeing/timebeing97/iryou-4-0829.html
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3)診療点数早見表2008年4月版,医学通信社,p699
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5)前掲載文献3)p55
6)大塚恒子,甲斐麻里,矢野優子,松尾結紀(2008).BPSDを呈する認知症患者の重症度・看護必要度の調査.日本看護学会論文集:老年期看護,38,pp116-119
7)萱間真美,宮本有紀(2003).精神科急性期病棟における看護量の評価方法の検討 なぜ今この研究が必要なのか.精神看護,6(6),pp70-74
8)前掲載文献7)
9)木林身江子,木田文子,五十嵐さゆり,津島三代子(2008).高齢者の活動意欲に対する介護者の声かけの影響.静岡県立大学短期大学部研究紀要,21,pp21-28
10)小松光代,黒木保博,岡山寧子(2005).重度認知症高齢者に対する介護スタッフの声かけ音声の特徴と声かけプランの可能性を探る.日本認知症ケア学会誌,4(1),pp32-39
11)平井元子(2002).精神病棟における看護職者が行う「声かけ」の構造と意味.日本精神保健看護学会誌,11(1),pp58-64
12)厚生労働省.要介護認定 認定調査員テキスト.http://www.mhlw.go.jp/za/0810/d11/d11.pdf.2009.11.01
13)三代沢邦恵(2006).広汎性発達障害患者の看護 その特性を踏まえた行動範囲拡大への取り組み.日本精神科看護学会誌,49(1),pp56-57
14)筒井孝子(2008).第1章2看護必要度の概念.嶋森好子,筒井孝子偏.マネジメントツールとしての看護必要度(第2版)p23,図1-3.東京:中山書店
15)同上書14)p24,図1-4
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18)山内慶太,池上尚紀,浅井昌弘(1994).精神医療の支払い方式に関する研究-メニンガー患者分類表の妥当性・信頼性.精神科診断学,5(1),p102
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21)平成18年度精神保健福祉資料.   http://www.ncnp.go.jp/nimh/keikaku/vision/pdf/date_h18/h_18630_2-1-2.pdf
公表先: 中嶋秀明, 萱間真美. 精神科入院治療における看護ケア量の測定方法に関する研究①-看護必要度項目の妥当性の検討-. 精神科看護, 40(4):38-48 (2013)
中嶋秀明, 萱間真美. 精神科入院治療における看護ケア量の測定方法に関する研究②-精神科の看護量を代表するケア項目についての検討-. 精神科看護, 40(5):41-49 (2013)
注記: 聖路加看護大学大学院看護学研究科修士論文
リンクURL: http://hdl.handle.net/10285/7246
出現コレクション:2-1-d:修士論文(要旨、引用・参考文献・本文あり)

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