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Please use this identifier to cite or link to this item: http://hdl.handle.net/10285/1368

NII Resource type: Thesis or Dissertation
Title: 患者が認知する「やさしさ」を成立させる看護の構造化
Other Titles: Exploring the structure of nursing related to "YASASHISA" perceived by patients.
Authors: 笠松, 由佳
Author-transcription: カサマツ, ユカ
Advisor: 井部, 俊子
Keywords: ケアリング
やさしさ
患者-看護師関係
看護
Issue Date: Mar-2008
Abstract: 患者の視点から見たよい看護師の特性や、患者が看護師を認知する際に重要視する要因として「やさしさ」があげられている。病院の機能分化が進み入院期間が短縮化し、看護師が長い経過の中で時間をかけて患者と関係性を築くことが難しくなった近年においても、「やさしさ」を望む患者の声は普遍である。しかし、看護師にとっては「やさしさ」は一般用語として用いられる多義的な概念であり、看護師のどのような思考、感情、判断を伴った実践が、患者が「やさしさ」を認知することに関与しているのかは明らかにされていない。そこで、患者が認知する「やさしさ」を成立させる看護の要素を記述し構造化をはかることを目的に研究を行った。  データ収集と分析は、グラウンデッド・セオリーアプローチの手法を参考にして行なった。内科系病棟に入院している患者から、看護師や看護師の行なった一連の看護に対して「やさしさ」を認知した体験(「やさしさ」体験)をプロスペクティブにあげてもらった。「やさしさ」体験に登場した看護師に半構成的インタビューを行い、看護師の思考、感情、判断なども含めた一連の看護についての回顧的な語りを記述、分析した。 研究対象は患者9名で、合計11の「やさしさ」体験があげられた。「やさしさ」体験に登場した9名の看護師の語りを分析した結果、《一人の人間としての患者に関心をもち心を通わせる》と、《自分本位でなく患者のために懸命になる》という副次的カテゴリーが関連した《不安の原因に働きかけ患者が安心できるようにする》という2つの中核カテゴリーが抽出された。これらは看護師の【信条】を基盤としたプロセスであり、【学生時代から継続して学習し会得した知識や技術】が用いられ、患者が「やさしさ」を認知した中核の要素へと至っていた。 《一人の人間としての患者に関心をもち心を通わせる》で、看護師は【患者の思いを理解し、心通い合う看護がしたいという信条】を基盤としたプロセスを経て【患者へのメッセージがこめられた言葉】を発し、患者はそのメッセージを受け取っていた。また【積極的に患者との関係性を築く】中で、【患者の思いを引き出し】、【患者が自分のことを分かってもらえていると感じる「~ですよね」という話し方】をしていた。患者は、自分の気持ちや、起こっている症状を看護師が分かってくれていると感じていた。 《不安の原因に働きかけ安心できるようにする》で、看護師は【表面的な訴えや症状だけを捉えるのではなく、その人の望むことを見極め看護をするという信条】を基盤としたプロセスを経て、患者から直接的な不安の訴えがなくても、【患者の痛みが早く楽になるように触れる】、【体感できる温かさを与える】、【自分に注目してみてくれていると患者が思えるようにじっくり話す】【患者の過去の経験に応じて患者が理解できるように説明する】、【不安が和らぎ安心できるように触れる】という一人ひとりの患者のニーズにあった看護を行い、患者は不安が和らぎ安心していた。 《自分本位ではなく患者のために懸命になる》で、看護師は患者のために看護をすることが脅かされる様々な状況にありながらも、【看護師とは違う患者の感覚や思いを大切にするという信条】を基盤としたプロセスを経て、【患者の問題に向き合い、患者のために必死になる】、【忙しいが後まわしにせず、その時にできることをすぐに行う】、【患者の表情、言葉をもとに患者の満足感を判断する】という看護を行い、患者は看護師が忙しい中でも患者本位に関わってくれたと感じていた。 「やさしさ」体験は、看護師にとっては《患者が「やさしさ」を感じてくれるとは思ってもみない体験》であり、意識して「やさしさ」を提供した体験ではなかった。最終的に「やさしさ」を認知するか認知しないかのトリガーは、患者側に存在することが示唆された。「やさしさ」体験を成立させた患者の特性としては、看護師が患者に対して申し訳なさや気がかりを抱いていた時に、その申し訳なさや気がかりを軽減するような《看護師への気遣いを見せる患者》であり、「やさしさ」体験に登場した看護師は、《自分の傾向を自覚し、自分が患者に与える影響を意識している看護師》であった。 患者が看護師に対して「やさしさ」を認知できるような看護を意識して実践するために、3つのカテゴリーとサブカテゴリー、プロセスを活用することが可能である。看護教育者、看護管理者は、「やさしさ」体験を提供できるような看護師を育てること、病棟作りに役立てることができる。今後は、対象者を増やし患者の認知する「やさしさ」を成立させる看護の構造をより豊かにしていく必要がある。
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Description: 聖路加看護大学大学院看護学研究科修士論文
URI: http://hdl.handle.net/10285/1368
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