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Please use this identifier to cite or link to this item: http://hdl.handle.net/10285/1146

NII Resource type: Thesis or Dissertation
Title: ケアに見る間主観的人間関係モデルを考える試み:「食べる」についての糖尿病を持つ人との関わりを通じて
Other Titles: Intersubjectivity and the Human Relations Models
Authors: 大迫, 哲也
Author-transcription: オオサコ, テツヤ
Keywords: 間主観性
人間関係モデル
看護ケア
糖尿病
Issue Date: Mar-2002
Abstract: 【研究の背景】  本研究は、看護の現場における病いを持つ人と医療者(看護者)との関係性を考えるものである。その際に、この関係性を切り分けることのできない「複合体」として見る発想に端を得て、「間主観的人間関係」という視点のもとにこれを読み解いていくことを試みる。具体的には、糖尿病を持つ人とのあいだで"食べる"をテーマとした面接を行なう中で、そこに3つの人間関係モデル、すなわち本研究が名付けるところのS-Rモデル、相互作用モデル、間主観モデルのそれぞれを見出すことを目指す。そしてそれらの対比を通して、間主観的人間関係という見方の特徴を明らかにして今回ここに提起することを行なう。こうした発想のもとには、患者の行為を患者個人の選択と責任とに帰属させるものではなく、患者と看護者との関係性それ自体の中にその根拠を見出したいと考えたことがある。これは、一人患者だけではなく、同時に看護者をも孤立の淵から拾い上げることを見据えようとするものでもある。 【目的】  本研究では、間主観という"ものの見方"を言葉によって捉えることで、看護ケアにおける人間関係を論考していく上での看護者の視座の一つに資することを目的とした。そしてこれを目指す上での二つの目標として、モデルを分析するための枠組みを案出していく方法論的検討と、そこで得られた枠組みをもとにして実際のケア事例の中にこれらのモデルを見出すことを検討する実践性の検討という二段階を設けた。  その際の間主観という見方としては、冒頭に述べたような切り分けられない関係性として、複数主観のあいだで共通する見解の一致としてではなく間主観性それ自体の中に主観の存立根拠を見出そうとする立場に立つこととした。またケアという語では、人が人に向ける関心という意味において相手に関心を向けることを指すものとし、本研究では、面接の場において看護者である面接者(研究者)が被面接者の話を聴くことをケアとした。 【方法】  まず、糖尿病を持ち病院外来に通っている人10名とのあいだで"食べる"をテーマとした非構成的面接を行ない、これをケアの文脈から見たエピソード場面にまとめて文章による記録化を行なった。そして、過去の知の見方を参考にしつつ、概念的検討と実際のケアのデータとを往還する中から分析のための準拠枠組みを案出し、これを用いてケア場面の中に3つの人間関係モデルを見出してその特徴と関係を検討することを行なった。 【結果および考察】  結果としては、第一の目標に対しては、分析枠組みとして人称性・時間性・物語性という3つの枠組みが導き出され、これを用いることで看護ケアの人間関係を分析することが可能なことが明らかになった。次いで、第二の目標に対しては、ケアの実際にこれを当てはめて検討することによって、そこに3つの人間関係モデルを認めると共に、切り分けられない連続性としてのモデルと枠組みの存在が臨床的に現れている様相を認めることができた。  以上の結果から、間主観的人間関係モデルという見方の存在を、その成立可能性として想定することができるものと結論した。また、間主観モデルという見方の持つ特徴としては、人称性・時間性・物語性という枠組みをくぐり抜けることによってそれが初めて見えてくるものであるということ、臨床におけるモデル間での相互の切り分けられなさ、モデルを見るための3つの枠組みとは実は同一の事態(「自己」ということ)が現象面に現れる際の3つの異なる側面での表現なのではないかと考えられること(恐らくそれは「他者」をその内に含み込むものとしての「自己」ということを意味しているのだと考えられる)、そしてそこに"出会い"(他者との"出会い")ということの意味を見出しうるのかもしれないということ、などが考察された。その上で、このような間主観的人間関係というものを考えることが看護者の視座を広げることに資することがあるとしたら、それが看護・看護学にどのような意義を持つものであるのかについての検討を行なった。  最後に、間主観モデルということを考えていくに当たっての今後の課題を、ケアの構造や倫理性を含め、その実際的な意味や意義といった面から取り上げて論及した。
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Description: 聖路加看護大学大学院看護学研究科修士論文
URI: http://hdl.handle.net/10285/1146
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