DSpace
   聖路加国際大学図書館 聖路加国際大学   

SLIU Repository >
聖路加看護大学大学院看護学研究科学位論文 >
2-1:修士論文 >
2-1-d:修士論文(要旨、引用・参考文献・本文あり) >

Please use this identifier to cite or link to this item: http://hdl.handle.net/10285/1132

NII Resource type: Thesis or Dissertation
Title: ALS患者の精神的安寧をはかるケアの様相とそれを阻止する要因の分析
Other Titles: Caring for ALS Patients - Aspects of Psychological Well-Being -
Authors: 小山田, 恭子
Author-transcription: オヤマダ, キョウコ
Advisor: 中山, 洋子
Keywords: ALS
ヒューマンケアリング
精神的ケア
コミュニケーション
Nsのストレス
Empathy
Amyotrophic Lateral Sclerosis
患者-看護師関係
Nurse-Patient Relations
Issue Date: Mar-1996
Abstract:  本研究は、筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis, ALS)患者の精神的安寧をはかるための、看護婦によるケアと、その阻害要因を明らかにすることを目的に行われたものである。  近年、ALS患者への病名告知の動きが広がりを見せている。それに伴い、従来は家族に任されてきた気管切開、人工呼吸器装着などの治療の選択を、患者の意思に委ねる動きも広まっている。一方、国立病院の看護職員の削減や入院期間の短縮化といった社会的な動きから、病院で長期に療養することは困難となりつつある。しかしながら、人工呼吸をつけて在宅療養するためのサポート体制等の社会資源の整備は、未だ不十分な状況にある。疾患から来る様々な苦痛に加えて、こうした社会生活上の困難に直面する患者が、自分自身の生活や治療についてについて納得のいく選択をしていけるように、看護婦は今まで以上に、患者の精神面に目を向けたケアをしていく必要があると考える。  これまでにも多くの研究者、理論家が患者の精神的安寧に目を向け、そのためのケアの要素や方策などを論じてきた。しかし、ALS患者のように、四肢機能だけでなく意思疎通手段も奪われる患者を対象に生み出されたものは少ない。そこでそうした方策などを応用するためには、ALS患者の認識のあり方や、ケアの有り様を知ることが必要となると考えられた。しかしながら、そのような点を明らかにした研究はほとんどない。そこで本研究は、ALS患者の精神的安寧をはかるケアが、看護婦によってどのように行われているのか、また、それがどのように阻害されるのかを明らかにすることを目的に、行われた。研究はグラウンデッドセオリーアプローチに基づく質的研究方法を用いて行った。データ収集は1施設内の神経内科病棟において、参加観察法と、インタビュー法を用いて行った。延べ7名(実数6名)の患者への看護婦によるケア提供場面の参加観察と、3名の患者、4名の看護婦へのインタビューからデータは作られた。研究対象となった患者のうち、5名が療養期に、1名が急性期にある患者であった。  分析の過程において、患者の精神的安寧に関わる看護婦の行為として、7つの側面が明らかとなった。さらに、そうした看護婦の行為の背景として、患者のセルフケア行為が重要な役割を果たしていることが分析された。そして、ALS患者の精神的安寧をはかるケアの概念として、「満足感の実現」が抽出された。各々の内容は、まず看護婦の行為として、「ケア環境を整える」「患者の意思の沿う」「能動的にケアを提供する」「患者のセルフケア能力の育成」「安心感をもたらす」「患者の気持ちに関心を寄せる」「関係につなぎをはかる」が抽出された。患者の行為としては、「暫定的なセルフケア能力の確立」と、この他に、セルフケア行動の5つの側面として次のようなものが抽出された。「効率的な意思伝達方法の活用」「ケア提供の選択」「要求のコントロール」「自分を知ってもらう」「看護婦との関係を保つ」という側面である。  研究ではこのほか、そうした精神的安寧をはかるケアの背景となる、日常的なケアの有り様と、ケアに関する患者、看護婦の認識の一部を明らかにした。  本研究の結果明らかになった看護婦の行為は、患者の自己受容や自律、環境の統御や他者との良好な関係を促進する事に貢献していると考えられた。このような機能から、「患者の満足感の実現」に関わる看護行為は、患者の精神的安寧をはかるケアに位置づけられると判断するに至った。  一方、精神的安寧をはかるケアを阻害する要因としては、患者の不満足に関わる看護婦の行為として「義務を果たす」態度が明らかとなった。また、不満足に関わる状況として「(患者-看護婦間の)主導権の対立」と「看護婦の精神的余裕のなさ」が明らかとなった。そして、こうした行為や状況が相互に影響し合って、患者の精神的安寧をはかるケアを阻害する、また、その精神的安寧自体を脅かす可能性のあることが考察された。  さらに、日本における他の研究との比較を通じて、ALS患者のケアの特徴も考察された。それは、ケアリングの構成要素と位置づけられている、「察する」という行為が、行進したALS患者のケアにおいては基本的な技術であるということである。ADLを他者に依存しなければならないためにナースコールが多くなる、などの点で、ALS患者のケアに看護婦は負担を感じやすい。それに加えて、「察する」という情緒的な作業が多く要求されることが、精神的ケアの阻害要因につながっているのではないかと考察された。
Bibliography: 福永秀敏他:筋萎縮性側索硬化症の今日的問題-病名告知と呼吸器装着-, 日本医事新報, 3632, 32-34, 1993.
Folkman, Susan:Personal control and stress and coping processes, A theoretical analysis, Journal of personality and social psychology, 46(4), 839-852, 1984, 黒田裕子, 中西睦子訳, パーソナル・コントロール, ストレス, コーピング・プロセス;理論的分析, 看護研究, 21(3), 35-52, 47, 37, 1988.
秋元典子:入院患者のQOL・メンタルへルスと看護の役割, 月刊ナースデータ, 12(9), 10-19, 1991.
野嶋佐由美他:こころのケア技術研究, 平成6年度厚生省看護対策総合研究事業研究報告書, 22.21.1995.
Brooks, Nancy A.and Matson, Ronald R.:Social-psychological adjustment to multiple sclerosis, Social science and medicine, 16, 2129-2135, 1982.
武田宣子:脊髄損傷患者のリハビリテーション医療における看護独自のアプローチの探索, 平成2年度聖路加看護大学大学院修士論文, 1991.
佐藤サツ子:長期療養患者の療養環境とQOL, 第14回難病看護研究会誌, 36-37.
Makielski, Marta.:Administering pain medication for a terminal patient, Dimensions of critical care nursing, 11(3), May-June, 157-161, 1992.
荒木美和他:““グッドラッグ””といって死にたかった患者の心, 臨床看護, 17(11), 1693-1699, 1991.
近藤喜代太郎:筋萎縮性側索硬化症, 最新看護セミナー24, 神経・筋疾患ハンドブック, メヂカルフレンド社, 187-194, 191.1986.
糸山泰人:ALSの病因と新しい治療, 日本ALS協会会報, 35, 12-20, 1995.
林 秀明:神経内科疾患患者の長期療養に伴う問題-ALS患者を中心に-, 日本医事新報, 3628, 43-47, 43.1933.
日本ALS協会編:アンケート調査報告, 日本ALS協会会報, 29, 27-41, 1993.
川原佐和子編:看護セレクト/20「こころと体のケア」難病患者のケア, 出版研, 1989.
Farrell, Ann M.and Obert-Thorn, Melanie Eve, :The amyotrophic lateral sclerosis client and the issues surrounding mechanical ventilation, Holistic nurse practice, 7(3), 1-7, 1993.
McDonald, E.R et al:Survival in amyotrophic lateral sclerosis.The role of psychological factors, Archives of neurogy, 51(1), 17-23, 1994.
Oliver, J.:In sunshine and in shadow, 1986, 日本ALS協会訳, 照る日かげる日, サイマル出版会, 133-139, 1991.
千葉真理子:筋萎縮性側索硬化症看護の一考察, 看護の研究, 25, 23-24, 1993.
海野稔子:ALS患者へのコミュニケーションエイドの導入, 作業療法(特別), 11, 183, 1992.
上岡澄子他:人工呼吸を装着した神経難病患者のセルフケアを重視した援助, 第23回日本看護学会集録, 地域看護, 141-143, 1992.
Tidwell, Janet.:Pulmonary management of the ALS patients, Journal of Neuroscience nursing, 25(6), 337-342, 1993.
牛込三和子, 川村佐和子:呼吸不全 在宅レスピレーター患者の看護システム, Medical practice, 9, 1387-1389, 1992.
角田和江他:在宅ALS患者の病期別ケア時間量の比較検討, 第12回難病看護研究会誌, 28-30.
藤下ゆり子, 久常良:難病患者が在宅でくらす「ネットワーク」をいかに作るか, 第15回難病看護研究会誌, 26-29.
内山昌子他:難病患者の在宅療養を支える, 第13回難病看護研究会誌, 41-45.
Tea-Soon Kim:Hope as a mode of coping in amyotrophic lateral sclerosis, Journal of neuroscience nursing, 21(6), 342-347, 1989.
服部昌美他:筋萎縮性側索硬化症の看護, 看護の研究, 25号, 227-228, 1993.
Place, Barbara E.:Understanding the meaning of chronic illness:A prerequisite for caring, Gaut, D A.ed, A global agenda for caring, National league for nursing press.Pub.No15-2518, 281-291, 1993.
黒田裕子:クオリティ・オブ・ライフ(QOL)その概念的な側面, 看護研究, 25(2), 2-10, 1992.
Ryff, Carol D.:Happiness is everything, or is it? Exploration on the meaning of psychological well-being, Journal of personality and social psychology, 57(6), 1069-1081, 1989.
Lawton, M Powell.:Environment and other determinants of well-being in older people.The gerontologist, 23, 349-357, 1983.
Burgener, Sandy C and Chiverton, P:Conceptualizing psychological well-being in cognitively-impaired older persons, Image:Journal of nursing scholarship, 24(3), 209-213, 1992.
Bowsher, Juanita Enevoldsen and Gerlach, Mary Jo:Personal control and other determinants of psychological well-being in nursing home elders, Scholarly inquiry for nursing practice:An international journal, 4(2), 91-102, 1990.
Lee, Ruth N.F.et al:Effects of psychological well-being, physical status, and social support on oxygen-dependent COPD patients' level of functioning, Research in nursing & health, 14, 323-328, 1991.
Dixon, Jane K.and Dixon, Jone P.:An evolutionary-based model of health and viabilty, Advances in nursing science, 6(3), 1-18, 1984.
Lambert, Vickie A.et al:Social support, hardiness, and psychological well-being in women with arthritis, IMAGE:Journal of nursing scholarship, 21(3), 128-131, 1989.
Mayeroff, Milton:On caring, Harper & Row, 1971, 田村真訳, ケアの本質, ゆみる出版, 92-102, 1987.
白井寧子:入院している患者の経験するケアリングの構造とその成立要件に関する研究, 1944年聖路加看護大学大学院看護研究科修士論文, 74.76.75.76.1995.
Leininger, Madeleine M.:Selected culture care findings of diverse cultures using culture care theory and ethnomethods, Culture care diversity & universarity:A theory of nursing, National league for nursing press.New York, Pub.No.15-2402, 345-371, 1991.
Shellwood, Gwen:A qualitative analysis of patient responses to caring-A moral and economic imperative, Gaut, Delores A ed, A global agenda for caring, NLN Pub.NO.15-2518, 234-255, 1993.
Morse, Janice M.et al:The phenomenology of comfort, Journal of advanced nursing, 20, 189-195, 1994.
川口武久:しんぼう, 静山社, 1994.
Leininger, Madeleine M.:Caring:An essential human need, Charles B.Slack, Inc.1981.
Strauss, Anselm.and Corbin, Juliet.:Basics of qualitative research, SAGE Publications, 19, 17-32.1990.
Cassell, Eric J.:The healer's art, J.B.Lippincott company, 1976, 土居健郎・大橋秀夫訳, 癒し人の技, 新曜社, 143-169, 1992
片平好重:がん患者が病気の意味を見いだしていくプロセスに含まれる要素と関係する要因の分析, 1993年聖路加看護大学看護学研究科修士論文, 1994.
岡谷恵子:患者-看護婦関係における信頼, Nursing Today, 10(5), 6-11, 1995.
Meize-Grochowski R.:An analysis of the concept of trust, Journal of advanced nursing, 9, 563-572, 1984
Heineken, Jan:Does anyone out there know I'm here?, Nursing management, 14(6), 16-17, 1983
Kirk, Katherine:Confidence as a factor in chronic illness care, Journal of advanced nursing, 17, 1238-1242, 1992
操華子:患者-看護婦関係におけるケアリング特性に関する分析, 1992年度聖路加看護大学修士論文、1993
大川貴子:リハビリテーション病棟に入院していいる脳血管障害患者の看護行為に対する認知, 1992年度聖路加看護大学看護学研究科修士論文、73, 1993
Riemen, D J.:The essential structure of a caring interaction:Doing phenomenology, Munhall, P L., Oliver, C J.:Nursing research-A qualitative perspective-, Appelton century crofts, 85-108, 1986
Hainsworth, Margaret A.:Living with multiple sclerosis:The experience of chronic sorrow, Journal of neuroscience nursing, 26(4), 237-240, 1994
Chitty, Kay K.and Maynard, Carolyn K.:Managing manipulation, Journal of psychosocial nursing, 24(6), 9-13, 1986
南裕子他:精神的に了解困難な一般病棟患者に対するリエゾン精神看護学の教育と実践のモデル開発, 平成1, 2年度文部省科学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告, 12-14.23
Lazarus, Richard S.and Folkman, Susan:Stress, appraisal, and coping, Springer publishing company, 1984, 本明寛他, 監訳:ストレスの心理学, 実務教育出版, 274, 1991
Description: 聖路加看護大学大学院看護学研究科修士論文
URI: http://hdl.handle.net/10285/1132
Appears in Collections:2-1-d:修士論文(要旨、引用・参考文献・本文あり)

Files in This Item:

File Description SizeFormat
1999062-OyamadaKyoko_full_1132.pdf2.93 MBAdobe PDFView/Open

Items in DSpace are protected by copyright, with all rights reserved, unless otherwise indicated.

 

Valid XHTML 1.0! DSpace Software Copyright © 2002-2010  Duraspace - Feedback