DSpace
   聖路加国際大学図書館 聖路加国際大学   

SLIU Repository >
聖路加看護大学大学院看護学研究科学位論文 >
2-1:修士論文 >
2-1-b:修士論文(要旨あり) >

この研究成果の引用には次のURIを利用してください。: http://hdl.handle.net/10285/1070

種類: Thesis or Dissertation
タイトル: 病室や病棟環境に対する患者の認知:精神状態及び日常生活行動との関係
タイトル別表記: Inpatients' Perception of the Living Environment in the World
著者: 服部, 朝子
著者名ヨミ: ハットリ, アサコ
キーワード: 病棟環境
病室
認知
精神状態
日常生活行動
患者
社会的判断理論
受容群
拒否群
HALBOH
非関与群
調査法・尺度: Rosenberg self esteem scale (SE尺度)
東大式エダグラム (TEG)
発行年月日: 1989年3月
抄録: キリスト教を背景に建てられたヨーロッパの病院が、病気を癒し健康を取り戻していくにふさわしい環境であることを当初から目指していたのに比べ、日本の病院は入院医療を外来の延長ととらえ、「医師の家」から拡大発展したため、療養生活をおくる場という考えは育ちにくい状況にあった。近代的な設備や機能を誇るようになった現在においても、患者が生活する病室や病棟は基本的に変化していないのが実情である。確かに病院の設計は、合理性と情緒性の相反する面を調和させねばならない難しさがある。しかし、病院の環境を考えるには、医療者の意見だけを取り入れるのではなく、利用者である患者の意見も汲み上げる必要があろう。 本研究は以上のような問題を背景に、実際に入院している患者が自分達の環境である病室や病棟環境をどのように認知しているのか、そのことが患者の精神状態や日常の生活行動に、どのような影響を及ぼしているのかを明確にすることを目的とした。研究は人間の心理や行動は環境と相互作用をするという前提に立ち、M.SherifとC.I.Hovlandの『社会的判断理論』(social judgment theory)を概念枠組みとした。つまり、環境に対する態度の表明や態度変容の基礎をなしている心理的過程を解明しようとしたものである。 関西の2つの中規模私立総合病院に入院中の患者140人を対象に、質問紙及び面接による調査を行い、統計パッケージを用いて分析を行った。その結果、以下のことが明らかになった。 1.入院時の病室や病棟環境に対する認知(初期認知)は、《自我境界》と《自分の居場所》の2つの因子から成り、認知のレベルによりいずれも受容群、拒否群、非関与群の3領域に分かれることが確認された。 2.調査時現在の環境に対する認知(現在認知)は、《自我への侵入と露顕》《住みごこち要因》《気象的要因》《視聴覚的侵入》《空間的要因》《プライバシー》の6つの因子から成っていた。 3.初期認知の3群と現在認知との間には有意な関連があり、入院時に受容的な環境認知をした人はその後の現在認知の得点も高く、環境を肯定的に受け止めていた。反対に拒否的あるいは非関与的な環境認知をした人は、現在認知の得点も低く、現在の環境に肯定的ではなかった。 4.現在認知と精神状態(自尊感情)の間には関連がみられなかった。 5.日常生活行動は《さっぱり感覚》《休息要因》《人間関係》《うつ的要因》《in/outのバランス》の5つの因子から成っていた。 6.現在認知と日常生活行動との間には有意な関連があり、現在の環境を肯定的に受け止めている人は、日常生活行動の得点も高く、入院中の日常生活に支障を来していなかった。しかし、現在の環境を肯定的に受け止めていない人は、日常生活行動の得点も低く、入院中の日常生活に支障を来していた。 7.個人特性や状況特性の違いにより、環境に対する認知が異なったり、入院中の精神状態や日常生活行動のレベルが異なるものがあった。 8.本研究において作成したスケールの妥当性及び信頼性を検証した結果、信頼性については高い値が得られた。しかし、妥当性については構成概念のバラツキの大きいものがあり、今後検討を必要とする。 これらのことから、患者の病室や病棟環境に対する認知は、入院中の日常生活行動と関連をもつことが明らかになった。そこで、それぞれの因子に対し精神力動的な解釈を加えた結果、人間は環境を自分の居る場所とその境界に分けてとらえていることが明らかになった。また、自分の居場所を内部空間としたとき、その外に広がる空間を外部と外縁に分けてとらえており、自我境界にかかわる環境が快適でなく自我を脅かされるような状況にある場合は、外縁に位置づけられる人々に否定的感情を抱いており、清潔に関する行動や人間関係にも支障を来していた。従って、患者にとって療養の場が良い環境にあることは、入院中の日常生活を健全に送る上で重要であることが示唆された。 本研究で得た知見は、新しく病院を建てたり、病棟の管理や運営の際に役立つであろう。また療養生活には人間としての健全さや豊かさを生み出すために、住空間が必要であることを説くことができよう。 調査方法や測定用具など検討の余地は多いが、環境と人間すなわち病室や病棟と患者の相互作用を説明するものとして、中規模の市民病院的性格を有する病院に、ある程度一般化できると考える。
公表先: 服部朝子. 病室や病棟環境に対する患者の認知 環境認知と精神状態および日常生活行動との関係. 看護研究. 24(2):117-136.(1991)
注記: 聖路加看護大学大学院看護学研究科修士論文
リンクURL: http://hdl.handle.net/10285/1070
出現コレクション:2-1-b:修士論文(要旨あり)

このアイテムのファイル:

このアイテムに関連するファイルはありません。

このリポジトリに保管されているアイテムは、他に指定されている場合を除き、著作権により保護されています。

 

Valid XHTML 1.0! Powered by DSpace Software Copyright © 2002-2007 MIT and Hewlett-Packard - このリポジトリへのご意見をお寄せください